環境モデル都市・豊田 「緑のカーテン」成らず
「管理まずかった」 市財産管理課 昨年11月に竣工した豊田市東庁舎(地上8階、地下2階)の2‐8階の南側ベランダ緑化用にプランター植栽された大半のツタが枯れ、このほど撤去された。所管の財産管理課は「植え替えを検討しているが来春の可能性大」としており、目にも涼しい夏の緑化は望めなくなった。

(上:植栽が撤去され丸裸の豊田市東庁舎/下:順調に緑化されているみよし市庁舎)
去年11月完成の東庁舎ベランダのツタ“全滅” 植え替えは来年 東庁舎は「環境モデル都市」を標榜する豊田市の保健活動拠点として保健所や福祉関係の部署が入居し、建物も中央に吹き抜け空間を設け自然換気や採光を促し、屋上には緑化スペース、太陽光発電パネルを設置した。
環境配慮型ビルの”目玉“の一つとして2階から8階の南側ベランダに壁面緑化の常緑のツタ系植物・ヘデラ(別名アイビー)のプランター植栽を置いた。計300個で約1700本が植えられ、水やりは自動散水で1日1,2回。
ベランダは緑に覆われるはずだったが、昨年12月ころに茶色っぽくなっており、水やりを減らすなどして様子を見たが改善せず、今年4月、施工造園業者に調べてもらったが、好転せず、5月に8階分を除き、すべての苗を撤去した。
財産管理課は「原因ははっきりしないが、肥料・水遣りなど植物管理体制ができていなかった」と話している。
現在、業者と植え替えなどを検討しているが、植栽に適した時期となると来年になりそう。植え替えの費用は240万円ほど。
これから暑い夏だが、窓の内側はブラインドなどで室内の温度は調整され、業務に支障はなさそう。ただ外から来る市民には照り返しが強烈で、環境配慮型ビルと言うには程遠い。
「環境モデル都市」の看板が肩身を狭くする夏になりそうだ。
なお、昨年5月完成したみよし市役所新庁舎(7階建て)の南側ベランダにもツタ系植栽が同様施されているが、順調に根付いている。
【鬼頭直基】
豊田加茂歯科医師会 新会長に川原英之氏 よりよい地域社会実現へ 豊田加茂歯科医師会(近藤英明会長)は6日夕、ホテルトヨタキャッスル(喜多町)で2013年度総会を開き、今年度の会長に川原英之氏=美里=を決めた。若いころから組織活動に精力的に取り組み、副会長などの要職を歴任した川原氏は「各会員が地域住民に貢献している歯科診療に誇りを持ち、確信の下で事業を行っていってほしい」と抱負を述べた。

総会に続いて行われた交礼会には地元県議や豊田・みよし市の健康・福祉関係部署、企業の健保組合関係者などが来賓出席。
倉知俊彦県議は「8020県民条例を超党派で議決した。生活習慣に歯の健康の重要性が叫ばれる中、かかりつけ歯科医を持つことが大切」。太田稔彦豊田市長は「人の幸福度は人それぞれで行政が果たす役割は限定的だが、健康は誰もが共有。市としても保健センターや新たに立ち上げた健康部などを拠点に力を注ぎたい」とあいさつ。
新会長に就いた川原氏は「若い力で会を運営していかないと人口減少や多様化する社会の中で対応できない」と今期役員を若返りさせた。「先輩が長年にわたり築き上げてきた各団体との信頼関係による皆さんの協力なくして事業は実現できない。よりよい地域社会の実現のため貢献してほしい」と述べた。
また、NHK大河ドラマ「平清盛」の題字を担当するなど最も注目を集める若手書家・金沢翔子さんの母で書家の泰子さんが記念講演。ダウン症として生まれた翔子さんの子育ての苦労や葛藤、だからこそ得られる幸せについて話した。翔子さんが力強く「慈愛」という文字を書いて披露した。
主な新役員は次の皆さん。
副会長‐中野幸彦、大沢六也
専務理事‐大沢守
常務理事‐伊藤章、田代和久、鈴木裕仁
理事‐河合利方、田中惇、谷川博伸、斎藤大成、高木紳吾、鈴木晴信、肌附邦央、永田暢、船越浩樹、加藤久典、矢頭吾貴、井沢英孝
監事‐小島波尾、藤憲明、田嶋克史
【後藤真一】
足助病院27日竣工式 さらに充実した中山間拠点病院へ 豊田市中山間地の中核病院で岩神町仲田の愛知県厚生連足助病院の竣工式が27日、行われる。診療継続しながらの現地建て替えで2011年3月からの作業は煩雑だったが、4階建本館は今年2月に竣工、事務棟も4月に完成、残るのは本館南の駐車場、中庭など。「今後さらに地域医療・保健・介護の拠点として住民の期待に応えていきたい」と桑原毅事務長。
憩いのスペース、中庭、相談室 患者のアメニティー強化 同病院は1950年に建てられた鉄筋4階建の本館の老朽化などから建て替えが必要となり、中山間地の拠点病院としての重要な役割を担ってきたこともあって豊田市も支援を検討。
1万3530平方㍍の敷地に本館、病棟(2棟)、管理棟、立体駐車場などが設置。診療科は内科、小児科、整形外科、神経内科、外科など13科で職員195人、ベッド数約200床だった。
市は検討の末「地域を守り病院経営の安定のためにも支援は必要」と新病院改築事業約40億円のうち約23億円の補助を決めた。
改築は11年3月着工。工事は3期に分け、1期で管理棟、立体駐車場の解体、跡地に新本館東半分の建設を12年3月までに行い、続く第2期で本館などの解体、新館の西半分12年中に建設。同様第3期で南西の3階建B病棟の管理棟への改修、外構工事を今年6月までに完了した。
その間も診療など業務は続けられ、新館東半分完成後、旧本館の診察部分を移転させるなど受診者や入院患者に支障のないように進められた。
完成した新館は鉄骨造の四階建で延べ1万923平方㍍、13科で3、4階が病棟で190床。
病棟を改修した新管理棟との間に植栽を植えたパティオを配し、その他のスペースに約150台分の駐車場を整備した。
新館1階を入った正面に約100平方㍍ホールを配し、西奥に介護相談室、センターを設けるなど医療だけでなく保健・交流にも配慮した設計。「従来から月1回の出張健康講演を行うなど総合的な健康づくりに勤めてきた。新病院には憩いスペース、地域開放室を設けるなど患者へのアメニティー部門を加えた」と同病院。2階西奥のリハビリセンターは風呂、和室などを含め約800平方㍍と格段に広くなった。
「へき地医療の課題は多いが医療・保健・福祉の向上と住民の生活を守る複合拠点施設として一層の機能充実を図りたい」と桑原事務長。
竣工式は27日午前9時から同病院で神事と施設見学会を行い、午後0時半から会場を名鉄トヨタホテル(喜多町)で竣工式・記念パーティーを開く。出席者は地元選出の代議士、県議、太田稔彦市長、杉浦弘高市議長、根羽村村長や主催者側から柴田文志豊田JA組合長ら多数が参列する予定。
【鬼頭直基】
三好ヶ丘駅前カリヨンハウス 新三商事がコンビニ出店
広い売り場活かし イートインも計画 みよし市が購入した三好ヶ丘駅前の2階建て元商業施設・カリヨンハウスに新三商事(安城市)がフランチャイズ契約するコンビニストア「Yショップ」が出店する。市では地元区長らでつくる施設利活用検討委員会の要望案を優先し、今年3月から5月末まで公募したが、希望したのは同社のみ。落札価格は60万円。契約は賃貸料月5万円の5年間。9月オープンを目指す。

新三商事はアイシン精機の連結子会社で工場、寮内に売店や食堂などを展開。コンビニ事業は豊田、安城市など3ヶ所で経営。出店理由について売店事業部担当者は「マーケティング事業に力をいれると共に地域に根ざした企業づくりが目的」と説明する。
敷地面積約130平方㍍の2階駅側スペースに出店する。最も人目につきやすいため、検討委員会では長時間営業可能で防犯効果も高いコンビニ出店を希望していた。
同社によると、営業時間は午前7時半から午後9時半ごろまでを予定。通常のコンビニよりも広い売り場面積を活かしたイートインコーナーや土日曜限定でモーニングサービスなども検討しているという。「地域住民のニーズを踏まえ対応したい」(担当者)
施設は11月30日の開館を目指し、現在2期工事中。1部スペースはすでに市が市民情報センター・サンネットの運用を始めており、残りは子育てふれあい広場や多目的室、情報発信基地などが入る。
一方、1階150平方㍍のスペースのみ利用方法が未定で、今後カフェやファーストフード店などを公募する。希望がなければ商工会に出店を打診する予定。
市政策推進部の鈴木光広部長は「目標は若者の集う駅。民間企業を誘致し、公益性、大衆性を持たせたい」と話している。
【九郎田宏之】
民間パワーで古民家再生 名古屋市・錦見さん主宰プロジェクト 豊田市足助町の旧商家を再生するプロジェクトが5月から始まった。名古屋市在住の塾講師、錦見綾さん(29)が主宰する「あかり.net」のメンバー約30人が月1回のワークショップで進め、2015年夏の完成見込み。7月に花火大会を2階から楽しむ催事を予定するなどスローペースで進めている。
足助の旧商家 完成は3年後 市も支援 プロジェクトは足助町屋敷跡にある元金物屋だった木造2階建の屋根も土台も崩れた約100年前の建物を再生するもの。
2年前に偶然、この建物を見て気に入った錦見さんは豊田市足助支所に相談に行き、持ち主が同町に住む女性と知った。昨夏、一帯が国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されたこともあって古民家も国補助を受けて改修する運びとなり、同時に錦見さんらが内装を担うことも了承された。
当時錦見さんは旭地区で行われていた大工養成講座(2年間)を受講。講座で知り合った建築士や左官、田舎暮らし志望の若者に古民家再生を呼びかけ、プロジェクトのスタートを決めた。
マスコミに取り上げられたこともあって参加者は30人ほど集まった。メンバーは豊田市を中心に名古屋、岡崎などからさまざまな老若男女。
第1回ワークショップは5月18、19日に行い、古民家の中を探検。古い看板、帳簿やダルマストーブなど面白いお宝もザクザク。夜は旭地区の宿泊施設での宴会で懇親。
「いろんな思いの人がいて楽しかった」と錦見さん。
次回は15、16日。街を歩き、町の歴史を学び、住民との交流を図る予定。
「地元の人に初め『足助に住むのか、住まないのか』と問い詰められたが、最近は人が集まってワイワイやっていること自体を喜んでくれているよう」と錦見さんは驚きを隠さない。
市も一帯が重伝建地区のため建物の屋根、壁など外装修復に補助金支給など側面支援する。
作業を進める2年間に古民家をカフェやギャラリーにするか、簡易宿泊所、飲食店にするかなどの方向性を決める予定。
「民間手法による重伝建の新しい活用法になるのでは」と豊田市や足助町でも注目している。
【鬼頭直基】
24時間運輸を商品化 愛東運輸新サービス「スポットQQ便」発車
輸送業の愛東運輸(村山明子社長、刈谷市)は電話1本で緊急集荷、配達する新サービス「スポットQQ便」を6月から始めた。24時間対応で主に自動車部品メーカーが対象。同社のオリジナルサービスとして他社との差別化を図ると共に急なニーズに応える。
これまでも依頼が多かったスポット輸送を商品化した。過去25年間の実績は約11万2500便。臨時の大型配送も可能で、軽自動車から2㌧、4㌧、大型まで全車両で対応する。
特に深夜帯の緊急配送は他社では行っておらず、強みとして打ち出していく考え。基本的には主要取引先の自動車メーカー中心だが、他業種や個人の依頼にも応える予定。吉村信介部長代理は「地域の各業者との信頼関係を築く足がかりにしたい。お客さまのニーズに応え臨機応変に対応していく」と説明する。
8日には本社で出発セレモニーがあり、社員や来賓約70人に一新した車両デザインが披露された。同社の基調色の青に商品名を大きくペイント。横に猫をモチーフにしたマスコットキャラクター「愛キャット」を据えた。
村山社長は「定期便と合わせキャパが広がった。フットワークとノウハウを活かし高品質で誠実な輸送を心がけたい」と話した。
今後は商標登録し輸送車73台のデザインを順次変更する。併せてマスコットキャラクターを前面に押し出しサービスの周知を図る予定だ。
同社は1969年設立。元々はタンクローリーでの輸送が中心業務だったが、オイルショック以降、一般貨物輸送に変遷した。
【九郎田宏之】
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