新三河タイムス社

愛知県豊田市にある新聞社。豊田市、みよし市の情報を発信。

わが街わが人~若者~

他者とかかわり自分実感
ホームレスに着目表現した東京芸大院生 光岡幸一さん


20140619わが街わが人

 ホームレスが放置した台車や台車を自身が修復する様子を収めた映像、昼の喧騒とは対称的に夜はホームレスの寝床になる東京・上野アメ横を感情剥き出しでマジックで描いた作品。
 15日まで豊田市美術館で開かれた美術系大学の進学予備校、小林美術研究所(栄町)の卒業生らの作品展『K-TEN』。会場で異彩を放つ斬新な着眼点に訪れた人が足を止めた。東京芸大大学院在学中の光岡幸一さん(23)=田中町出身=が東京・上野のホームレスに焦点を当てた作品『夢をみない夜』。「ホームレスも普通に生きて対等な存在。話しかけるのは失礼、作品だからとイメージを暴力的には表したくなかった」
 住まいと大学がある上野にリサーチ準備で着目。ホームレスが数百人訪れる週末の炊き出しには台車が1人1台用意される。浅草寺に遊びに行った際、見つけたのが見覚えのある台車。衝動的にレンタカーを借り、載せて修理。書き置きを残した。それらを写真や映像に集め展示した。レンタカーに積む模様を、A4サイズの写真で張り合わせ、ブルーシートに見立てセロテープで表した。「寝ている間の『夜』は自分の外側の無意識の象徴。ホームレスにとっての『夜』は人がいなくなった活動時間。『夜』にアクセスすることで自分に向き合いたかった」
 アーチストのプロモーションの仕事に憧れ、豊田北高から武蔵野美大に進学。3年次に建築学科から油絵学科への転科を迷った際、己の覚悟を試すため、2年夏、東京・小平市から実家まで2週間かけ徒歩で帰った。コンビニ駐車場で雑魚寝し、街道沿いの銭湯に入浴。身も知らない人に食べ物をもらうなど人の温かさに触れた。「今まで体感したことがない他者とかかわることで自分を実感できた。新たな方向性の好機に」
 土地に深く入り込み自分を知る機会を得た経験。今後は1年間休学し、国内か海外の別の街に拠点を置き、創作することを模索する。「上野という街が欲望的だったこともあるが、理屈抜きで衝動的に純粋に求め表現する経験をしていきたい」
 「井」の外へ出た若者が自己の表現を知り、豊田から東京、そしてまた別の場所へと歩む。
【後藤】

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