
50周年迎えた羽布ダム 小水力発電が始動
総事業費9億円 地元観光業者も期待
豊田市で小水力発電に向けた取り組みがいよいよ動き出す。愛知県農林水産部は、矢作川水系巴川の羽布ダム(羽布町鬼の平)に小水力発電施設を導入するため、2013年度予算に実施設計委託費として3000万円を計上した。一方で東部の羽布ダム一帯は同じ下山地区にありながら西部で整備が始まったトヨタの研究開発施設とは蚊帳の外だったため、7日の同ダム完成50周年記念式典で大村秀章知事が「1年前倒しして16年度の供用開始を目指す」と話したことで、ダム周辺の観光客が減少傾向により苦しむ飲食店主らは視察や工事などによる需要が増えると期待と歓迎に沸く。

羽布ダムは農地の水不足解消を目的に国が1952年に着工、63年に完成した農業用ダム。現在は県が管理し、岡崎、豊田、西尾、安城、碧南の5市と幸田町へ主に農業用水を供給。近年国営新矢作川用水土地改良事業で更新され、大規模修繕などの維持管理費は軽減されているが、高齢化や離農などで減少傾向の農業者にとって維持管理費は大きな負担となっていた。
式典で大村知事の「安定的に放流される農業用水を利用した小水力発電施設を設置し、発生した電力により収益を管理費の軽減に充当し、農業用水を利用した再生可能エネルギーとして地域社会に貢献していきたい」とのあいさつに同地区の観光業者でつくる「三河湖共栄会」会員は新規需要への期待で湧いた。「娯楽の多様化でかつてはドライブで訪れていたが、40代の認知度は低い。1年間かけて行う記念事業と共にエコ施設の整備は期待する」と歓迎ムード。
県内では農業用水を利用した小水力発電の可能性が高い場所が147カ所あるとの調査結果があり、具体的羽布ダムと新城市の四谷千枚田の2カ所が県の事業として動き出した。羽布ダムの実施設計は5月には委託したい考え。4年間で総事業費は9億300万円。
羽布ダムからは落差34㍍、毎秒3㌧の水量を利用して発電機の最大出力は約900㌔㍗。年間の発電電力量は約3200㍃㌔㍗。これは一般家庭約900世帯の年間電力消費量に相当する。
発電した電力は売電する予定で、一旦県の収入となった後、土地改良区の運営補助に充てられる。「より幅広い用途に使われることを期待したい」(中村晋県議)。
工事は国や電気事業者との協議が完了した後に着工する。早ければ、13年度から建設地への進入路整備に着手する。工事費は約1500万円を見込む。14年度に発電施設の下部工(基礎)や発電設備の製作などを発注。15年度に上屋の建築工事を発注する予定。
東日本大震災発生以降、自然再生エネルギーが叫ばれる中、県は農業用水を利用した小水力発電施設の導入を推進する方針。13年度に基本整備計画を策定するため、策定業務の委託費1040万円を計上した。
【後藤真一】
鈴木病院新館が開館 内覧会に多くの来場者

豊田市最大手の産婦人科病院、医療法人清慈会鈴木病院(月見町)の新館が1日、病院北側にオープン。多くの人に親しみを感じてもらおうと7日と14日両日に内覧会が催され、多くの来場者で賑わった。
新館は免震構造の鉄筋コンクリート(RC)造8階建、延べ約8100平方㍍。「安らぎと安心の病院」を目指し、老朽化が進む前病棟は解体し、11月には病棟から見渡せる壇状花壇を造り、ガーデンホスピタルをコンセプトとしている。
館内にはマタニティビクスなどができるホールやエステルーム、出産祝いにフランス料理が提供されるレストランも完備。
個室はホテルをイメージしたシャワー・トイレを完備。各29平方㍍のゆとりある空間で68室を用意。各階にローズやラベンダー、カモミールなどの花の装飾とカラーを施す。シャワー室はブラインド付のガラス張りで、赤ちゃんの様子を見ながら浴びられるよう配慮。
個室に限らず全館カードキー使用のオートロックを導入。防犯カメラは約40台設置し、セキュリティも万全。プライバシーを守るためバックヤード(職員専用の裏通路)を多数設けている。
来場した現在妊娠3カ月の奥武美加さん(28)=若林西町=は「違う病院にかかっているが、綺麗でリーズナブルなここと迷っている。前向きに検討したい」と話した。
約150人ものスタッフで手厚い医療を提供。専門医を増強することで希望者には無痛分娩をより可能とし、子宮筋腫や卵巣腫瘍などの腹腔鏡手術にも力を入れていく。
鈴木清明院長(73)は「安らぎのある環境で、落ち着いて癒してほしい。今後も安心安全の医療を提供していきたい」と抱負を語る。
【高瀬千穂】
豊田初の民間共働運営 柳川瀬が開館1周年
子育て支援拠点 1日平均200人が来場
豊田市内で初の市と民間子育て支援団体「キッズプランナー」の共働事業として昨年オープンした「柳川瀬子どもつどいの広場」(畝部東町)が28日、1周年を迎える。同団体の有我都代表(47)=桝塚東町=は「気がつけば1年。数の多い少ないはわからないが、多くの子どもや親子が利用してくれて予想以上だった」と振り返る。

スタッフは15人で担当。子どもつどいの広場には常時3人。上郷の講座には2人が交代で行っている。オープン以来、1日の平均来場者は約200人。有我さん「私たちとの出会いを楽しみに来てくれる人もいるし、室内と室外の両方あり、伸び伸びと遊べていいと言ってくれる人もいて嬉しい」と笑う。
市の所長が常駐することのメリットを強調。「すぐに市の担当者に連絡がいくので問題解決が早い。
常に話し合いができ、やりたいことの連絡が密にとれる。思いもわかっていただいていてその部分を生かしてもらって活動を進めている」と話す。
土日曜や祝日も開館しているため、小学生も一緒に連れて来られると若い母親からは好評だ。「始まってからたくさんの人が利用してくれる中、敷居が高い感じがして、一歩が出ない人や家から出られずに悩んでいる人がいるなら、来やすい雰囲気にしていきたい。ふらっと気楽に利用してほしい」と語る。
同じ学区にある上郷の交流館でも月に1回活動をしている。同子ども広場の部屋が狭いこともあり、人形劇や親子遊びなどの講座を開催。「ボランティアの時から6年やっている。来てくれるのを待っているだけでなく、地域に私たちが出向き、声をかけていきたい。日ごろ柳川瀬を利用してくれていて、講座の日は上郷に出向いてくれる人たちも多い」と話す。
今後について有我さんは「子育て中のママが交流してくれるのも素敵だけど、私たちがいつも中心ではなく、子どもが就園就学した人やパパも手伝いの立場で利用者と関わってくれたり、交流の場にしてもらえるよう発展させたい。利用者を作り上げていく場所にしたい。私たちを通じて利用者同士が繋がってほしい。自分たちで次にやりたいことを見つけてくれるようになるといい」と語る。
1周年を記念し、ゴールデンウイークに「マジックショー」や「おはなし会」「夏丸さんと川遊び」などのイベントを開催。一部予約が必要。
問い合わせは同施設25-0008
【瓜生佐由紀】
花に囲まれて(6)住吉町 太田やすよさん
アーチで立体感演出

豊田市住吉町の太田やすよさん(65)は家族と一緒に花づくりを楽しんでいる。
太田さんは「花色はブルーや薄いピンクが好き。草花が中心で種から育てたものも多い。夏には庭の一角をホワイトガーデンにする」と笑顔で話す。広い屋敷の南側部分が一面の花畑になっている。和の雰囲気の家屋に優しい色合いの花々がしっくりとなじんでいる。
太田さんは「昨年アーチが完成し、バラを植えた。立体感のある庭になるのが楽しみ」と語る。アーチや棚など大きなものは夫の作品。やすよさんの「こんなのが欲しいな」といった要望に応えて作ってくれる。ビオラやパンジー、アリッサムの種まきは90歳のおばあちゃんが長年続けている。孫の陸君(10)も「僕のガーデン」と名付けて昨年まで一部分を担当していた。
屋敷南側は墓地に通じる路地。その壁面は半世紀前に太田さん宅で農作業に使われていた荷車の車輪が利用され、草花が飾られている。「墓に行く人が眺めては『癒される』と声を掛けてくれるのがうれしい」と話す。
【岡田さち代】
※その他記事については紙面にてご覧ください。
総事業費9億円 地元観光業者も期待
豊田市で小水力発電に向けた取り組みがいよいよ動き出す。愛知県農林水産部は、矢作川水系巴川の羽布ダム(羽布町鬼の平)に小水力発電施設を導入するため、2013年度予算に実施設計委託費として3000万円を計上した。一方で東部の羽布ダム一帯は同じ下山地区にありながら西部で整備が始まったトヨタの研究開発施設とは蚊帳の外だったため、7日の同ダム完成50周年記念式典で大村秀章知事が「1年前倒しして16年度の供用開始を目指す」と話したことで、ダム周辺の観光客が減少傾向により苦しむ飲食店主らは視察や工事などによる需要が増えると期待と歓迎に沸く。

羽布ダムは農地の水不足解消を目的に国が1952年に着工、63年に完成した農業用ダム。現在は県が管理し、岡崎、豊田、西尾、安城、碧南の5市と幸田町へ主に農業用水を供給。近年国営新矢作川用水土地改良事業で更新され、大規模修繕などの維持管理費は軽減されているが、高齢化や離農などで減少傾向の農業者にとって維持管理費は大きな負担となっていた。
式典で大村知事の「安定的に放流される農業用水を利用した小水力発電施設を設置し、発生した電力により収益を管理費の軽減に充当し、農業用水を利用した再生可能エネルギーとして地域社会に貢献していきたい」とのあいさつに同地区の観光業者でつくる「三河湖共栄会」会員は新規需要への期待で湧いた。「娯楽の多様化でかつてはドライブで訪れていたが、40代の認知度は低い。1年間かけて行う記念事業と共にエコ施設の整備は期待する」と歓迎ムード。
県内では農業用水を利用した小水力発電の可能性が高い場所が147カ所あるとの調査結果があり、具体的羽布ダムと新城市の四谷千枚田の2カ所が県の事業として動き出した。羽布ダムの実施設計は5月には委託したい考え。4年間で総事業費は9億300万円。
羽布ダムからは落差34㍍、毎秒3㌧の水量を利用して発電機の最大出力は約900㌔㍗。年間の発電電力量は約3200㍃㌔㍗。これは一般家庭約900世帯の年間電力消費量に相当する。
発電した電力は売電する予定で、一旦県の収入となった後、土地改良区の運営補助に充てられる。「より幅広い用途に使われることを期待したい」(中村晋県議)。
工事は国や電気事業者との協議が完了した後に着工する。早ければ、13年度から建設地への進入路整備に着手する。工事費は約1500万円を見込む。14年度に発電施設の下部工(基礎)や発電設備の製作などを発注。15年度に上屋の建築工事を発注する予定。
東日本大震災発生以降、自然再生エネルギーが叫ばれる中、県は農業用水を利用した小水力発電施設の導入を推進する方針。13年度に基本整備計画を策定するため、策定業務の委託費1040万円を計上した。
【後藤真一】
鈴木病院新館が開館 内覧会に多くの来場者

豊田市最大手の産婦人科病院、医療法人清慈会鈴木病院(月見町)の新館が1日、病院北側にオープン。多くの人に親しみを感じてもらおうと7日と14日両日に内覧会が催され、多くの来場者で賑わった。
新館は免震構造の鉄筋コンクリート(RC)造8階建、延べ約8100平方㍍。「安らぎと安心の病院」を目指し、老朽化が進む前病棟は解体し、11月には病棟から見渡せる壇状花壇を造り、ガーデンホスピタルをコンセプトとしている。
館内にはマタニティビクスなどができるホールやエステルーム、出産祝いにフランス料理が提供されるレストランも完備。
個室はホテルをイメージしたシャワー・トイレを完備。各29平方㍍のゆとりある空間で68室を用意。各階にローズやラベンダー、カモミールなどの花の装飾とカラーを施す。シャワー室はブラインド付のガラス張りで、赤ちゃんの様子を見ながら浴びられるよう配慮。
個室に限らず全館カードキー使用のオートロックを導入。防犯カメラは約40台設置し、セキュリティも万全。プライバシーを守るためバックヤード(職員専用の裏通路)を多数設けている。
来場した現在妊娠3カ月の奥武美加さん(28)=若林西町=は「違う病院にかかっているが、綺麗でリーズナブルなここと迷っている。前向きに検討したい」と話した。
約150人ものスタッフで手厚い医療を提供。専門医を増強することで希望者には無痛分娩をより可能とし、子宮筋腫や卵巣腫瘍などの腹腔鏡手術にも力を入れていく。
鈴木清明院長(73)は「安らぎのある環境で、落ち着いて癒してほしい。今後も安心安全の医療を提供していきたい」と抱負を語る。
【高瀬千穂】
豊田初の民間共働運営 柳川瀬が開館1周年
子育て支援拠点 1日平均200人が来場
豊田市内で初の市と民間子育て支援団体「キッズプランナー」の共働事業として昨年オープンした「柳川瀬子どもつどいの広場」(畝部東町)が28日、1周年を迎える。同団体の有我都代表(47)=桝塚東町=は「気がつけば1年。数の多い少ないはわからないが、多くの子どもや親子が利用してくれて予想以上だった」と振り返る。

スタッフは15人で担当。子どもつどいの広場には常時3人。上郷の講座には2人が交代で行っている。オープン以来、1日の平均来場者は約200人。有我さん「私たちとの出会いを楽しみに来てくれる人もいるし、室内と室外の両方あり、伸び伸びと遊べていいと言ってくれる人もいて嬉しい」と笑う。
市の所長が常駐することのメリットを強調。「すぐに市の担当者に連絡がいくので問題解決が早い。
常に話し合いができ、やりたいことの連絡が密にとれる。思いもわかっていただいていてその部分を生かしてもらって活動を進めている」と話す。
土日曜や祝日も開館しているため、小学生も一緒に連れて来られると若い母親からは好評だ。「始まってからたくさんの人が利用してくれる中、敷居が高い感じがして、一歩が出ない人や家から出られずに悩んでいる人がいるなら、来やすい雰囲気にしていきたい。ふらっと気楽に利用してほしい」と語る。
同じ学区にある上郷の交流館でも月に1回活動をしている。同子ども広場の部屋が狭いこともあり、人形劇や親子遊びなどの講座を開催。「ボランティアの時から6年やっている。来てくれるのを待っているだけでなく、地域に私たちが出向き、声をかけていきたい。日ごろ柳川瀬を利用してくれていて、講座の日は上郷に出向いてくれる人たちも多い」と話す。
今後について有我さんは「子育て中のママが交流してくれるのも素敵だけど、私たちがいつも中心ではなく、子どもが就園就学した人やパパも手伝いの立場で利用者と関わってくれたり、交流の場にしてもらえるよう発展させたい。利用者を作り上げていく場所にしたい。私たちを通じて利用者同士が繋がってほしい。自分たちで次にやりたいことを見つけてくれるようになるといい」と語る。
1周年を記念し、ゴールデンウイークに「マジックショー」や「おはなし会」「夏丸さんと川遊び」などのイベントを開催。一部予約が必要。
問い合わせは同施設25-0008
【瓜生佐由紀】
花に囲まれて(6)住吉町 太田やすよさん
アーチで立体感演出

豊田市住吉町の太田やすよさん(65)は家族と一緒に花づくりを楽しんでいる。
太田さんは「花色はブルーや薄いピンクが好き。草花が中心で種から育てたものも多い。夏には庭の一角をホワイトガーデンにする」と笑顔で話す。広い屋敷の南側部分が一面の花畑になっている。和の雰囲気の家屋に優しい色合いの花々がしっくりとなじんでいる。
太田さんは「昨年アーチが完成し、バラを植えた。立体感のある庭になるのが楽しみ」と語る。アーチや棚など大きなものは夫の作品。やすよさんの「こんなのが欲しいな」といった要望に応えて作ってくれる。ビオラやパンジー、アリッサムの種まきは90歳のおばあちゃんが長年続けている。孫の陸君(10)も「僕のガーデン」と名付けて昨年まで一部分を担当していた。
屋敷南側は墓地に通じる路地。その壁面は半世紀前に太田さん宅で農作業に使われていた荷車の車輪が利用され、草花が飾られている。「墓に行く人が眺めては『癒される』と声を掛けてくれるのがうれしい」と話す。
【岡田さち代】
※その他記事については紙面にてご覧ください。


