新三河タイムス社

愛知県豊田市にある新聞社。豊田市、みよし市の情報を発信。

わが街わが人~職人~

炭焼きの奥深さに魅了
「森の名手・名人」13年度選定 筒井敏夫さん


20130926わが街わが人

「同じように操作しているつもりでも一窯できるたびに風合いが違う。何とも言えん張り合いがあるね」
 長年炭焼きに従事する豊田市山谷町の筒井敏夫さん(85)が国土緑化推進機構の2013年度「森の名手・名人」に選ばれた。02年度から優れた技を持つ〝達人〟に贈るもので豊田市では8人目。
 筒井さん所有の窯は良質な炭を量産できるよう工夫されている。特にコンクリート製の天井が特徴だ。強度向上に加え、炭を作るには窯内の湿度調整が重要なため雨が降っても木がシケらないようにした。一般的な円形とは違い三角形に近い形もオリジナルで、絶妙な焼き加減に仕上がるとか。中の広さは4、5畳ほど。1度に約800㌔の炭ができる。
 足助町の中心部から4㌔ほどの山間にある山谷町は古くから林業が盛んで、筒井さんの家系は江戸時代から代々炭焼きを生業にしてきた。小学生のころから父親の仕事を手伝う傍ら、暇を見つけては技術を盗んだ。「今と違って一輪車もない時代。子どもは1俵、女は2俵、大人は3俵炭を背負って山道を歩いた」
 猿投農林高を卒業後、賀茂村役場勤めを経て、本格的に炭焼きの仕事に就いた。一方、石油やプロパンガスなどの燃料普及と共に需要が激減。生計を立てるのが困難になり廃業も考えたが、副業として続けた。「根っから炭焼きが好きだったんだね」と笑う。
 今でも満足のいく炭ができることは稀だというが、焼きの技術には長年の経験が詰まっている。最も神経を尖らせるのが火付け作業。「火力が強すぎても弱すぎても駄目」。木の質や気温で火加減を調整。煙の色を頼りに室温を判断する。
 現在は市内各地に出向いては木を仕入れ、早朝から作業に励む。同時に「三州足助屋敷」で炭焼きコーナーを担当。観光客に技術を紹介したり後進の指導に当たる。炭焼きは市内でも年々、従事者が減っており、筒井さんが住む椿立自治区も当時8割が窯を所有していたが、今では3軒に。
「備長炭が一般的になっても黒染め独自のよさがある。何とかして技術を伝えたい」と意気込む。
【九郎田宏之】

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する